立ち読みコーナー
目次
304ページ
プロローグ 幸福前夜         5
第一章 花嫁は嵐の中で攫われて    17
第二章 聖なる『緑の女』       62
第三章 砂糖菓子のように愛されて   129
第四章 月明かりに秘された略奪    176
第五章 花嫁は烈火の王を愛で包む   213
第六章 海の国の銀色の姫       243
第七章 わたしはあなただけの花    254
エピローグ 天使たちは微笑む     287
あとがき               300
58ページ〜
(溶け、る……)
 口を開き、声にならない悲鳴をこぼす。レティシアはしきりに喘いだ。
(だめ、に……なる。わたしが、わたしじゃ……なく、なる……!)
「そのまま、蕩けろ」
 デュランの声が掠れて耳に届く。抱きしめる腕が強くなる。ふたりの体の間でつぶされた乳房が、先ほどまでの愛撫にはない感覚を伝えてきた。
「今までのおまえは、もういない……ここにいるのは、私のレティシア。私だけの、レティシアだ……」
「あ、……ぁ、ああ……っ……!」
 蜜をこぼして震えるところが突きあげられ、擦り、引き抜かれて、また突かれた。そのたびにレティシアの体は跳ね、まわった腕に引き寄せられる。熱を帯びた肌が触れ合う。
「ひぅ、う……あ、ああ、あん、っ!」
 結合は、どこまで深くなるというのだろう。レティシアは咽喉をのけぞらせて声をあげ、白い咽喉にデュランの唇が、歯が押し当てられる。
「……いぅ、……っ、ん、んんっ!」
 伝わってくるのは、痛みか快楽か――もう、判別することもできない。レティシアが味わっているのは強烈な波、激しすぎる潮の満ち引き。デュランの言葉どおり身は蕩け、どこまでが自分の体で、どこからがデュランのものかもうわからない――ひとつに溶け合うようなこの感覚は、いったいなんという名なのだろう――。
「愛しい女……」
 男の、低い声。掠れた、身の奥に沁み込む声。
「おまえが、私の求めていた女だ……、私の、探していた」
「……あ、ん、……っ、……」
「私の一生を、おまえに捧げてやろう……おまえには、その価値がある。私が一生を賭けるだけの、美しくかわいらしい……気丈な女だ」
「デュラン……、さ、ま……」
 応えるように、デュランは息をついた。耳にするだけで蕩けてしまうような、艶めいた吐息だ。
「レティシア……」
 呻くような声で名を呼ばれ、欲芯を受け止めた深くが甘く疼く。レティシアは大きく身を震わせ、反った咽喉にはこの激しい男の尖った歯が痕を残す。
 ずく、ずくと濡れた音ともに突かれ、柔らかい襞を拡げながら抜かれてはまた突かれて。擦られる内壁がじくじくと疼痛を訴え、あげる声もか細く淡くなったころ。
「受け止めろ……、レティシア」