立ち読みコーナー
目次
256ページ
第一章 美しい訪問者         5
第二章 快楽の指           22
第三章 残酷な宣告          44
第四章 哀しいはじまり        62
第五章 禁断の快楽          82
第六章 切ない予感          109
第七章 そして、はじめての招待客   128
第八章 五人目の男          150
第九章 欲望の使者          169
第十章 湖の別荘にて         193
第十一章 最後の訪問者        206
第十二章 大切なひと         229
あとがき               249
72ページ~
 甲高い喘ぎとともに達したレオニダを冷たく見下ろしながら、ヴィルジリオがゆっくりと上着を脱ぎ、シャツのボタンを外す。恍惚の隙間から見上げるヴィルジリオの鎖骨のラインが美しい。こんなところまで隙なく整っている。いっそ卑怯なくらいだ。
「これから、あなたを本当の娼婦にするための手ほどきをはじめます。レオニダは一切私に逆らってはいけない。最初は痛くとも、すぐに快感に変わる。なにもかもすべて私に差し出しなさい」
 ヴィルジリオはそう囁き、レオニダの腿を撫でた。滑らかな動きに、レオニダはびくっと震える。絶頂までいった後だから些細な接触でも感じてしまう。
「ほら、あなたの身体はもう期待でいっぱいだ」
「……そんなんじゃ……」
 首を振って否定しようとして、いまヴィルジリオから逆らってはいけないと言われたばかりだと気づく。レオニダは動きを止めた。
「そう。それでいい。レオニダはいい子だね」
 ヴィルジリオが微笑む。残酷な本性を知っていても、素直に綺麗だと思える表情だった。
「これから私がすることをちゃんと覚えるんだよ。この身体でね」
 言葉を重ねながら、ヴィルジリオはレオニダの足を大きく開かせた。ぴちゃっと小さな水音がしたように思ったのは、たぶん勘違いではない。達した部分はまだ湿り気を持っている。
「ふっ、本当にいやらしい女だね。期待でこんなに濡れて」
 ヴィルジリオは嘲笑交じりに、歌うように言う。
 期待でそうなっているのではない。ヴィルジリオが指で再び穿ち、突き、擦り上げたからだ。形よい指先と唇が弄んだから、その余韻で濡れているだけなのだ。
(私はいやらしくなんかない……っ!)
 レオニダは声にできない抵抗を胸の奥底で叫んだ。発することができるのなら、許されるのなら絶叫に近いものになっただろう。
「これならいきなりでも充分受け入れられる。本当に娼婦になるべくして生まれた身体だな。見た目は少女の清らかさで身体は娼婦の淫らさを持つなんて、男の理想だよ、レオニダ」
「……私、そんな……」
 レオニダは力なくぼそりと呟く。ヴィルジリオは聞こえないふりで、レオニダの湿っているであろう茂みに触れる。
「ああ、驚くくらいびしょびしょだ。この蜜壺ならどんな好色どもも満足する」
 ヴィルジリオは、いかにも嬉しそうにレオニダの肉の合わせ目に指を滑らせた。くちゅっと粘っこい音がした。
「っ……あっ」
 レオニダは自分でも大袈裟だと思ってしまうくらい大きく身体を反らした。達した後だからなのか、この程度触れられただけでも、身体中に痺れが広がる。下腹部が濡れて疼く。
「また中からこぼれてきた。いやらしい蜜が」
 そう言うと、ヴィルジリオはレオニダの最も女を主張する部分に強張りを宛てがった。見えなくても指ではないことがその重量感でわかる。
「な、なにを……?」
「あなたの身体がこれから覚えなければいけないもの。きっと気持ちよくて、大好きになるよ」
 ヴィルジリオはゆったりと双眸を細め、レオニダを見つめ下ろす。長い睫毛が庇のような影を作り、翡翠色の瞳がいつになく黒く見える。
「痛いのは最初だけだから、あまり下品な声をあげないようにね」
「侯爵……さま?」
 レオニダは恐る恐るヴィルジリオの二の腕に触れた。ヴィルジリオが微笑む。
「いくよ、レオニダ」
「いく、って……?」