立ち読みコーナー
目次
280ページ
神は癒し巫女を離さない     5
あとがき               273
105ページ~
辺りが明るくなっていた。目を閉じているのに、瞼を通してもわかるほどの明るさだ。
ああ、なんてきれいなの。
空の王の昂りに最奥まで貫かれ、激しく身体を揺さぶられながら、愉悦に身悶えて意識は朦朧としていても、輝く光の粒が、自分の身体を包み込んでいるのがわかる。
神の間で見た、舞い踊る光の粒に囲まれているのだと思った。
見たかった。目を開けたら、どれほど美しい光景が目に入ってくるのだろうか。
さらさらと流れるように、空の王の指が肩や胸元をくすぐっていく。
もう、触らないで。
敏感になった肌は、微かな愛撫すら拾ってしまう。
ぼんやりした意識の中、ふと、思った。
空の王の両手はアドリアニの両手を掴んでいる。では、胸元をくすぐっているのは…。第三の手でもあるのか。
アドリアニは目を開けた。
 眩い光が目に飛び込んくる。思わず目を閉じ、もう一度うっすら目を開けると、辺り一面が光り輝いていた。のしかかっている空の王の姿さえもはっきりしない。
あまりの眩しさに顔を横に向けると、たくさんの金色の糸が見えた。
肩口や首筋をくすぐっていたのは、金糸だった。上から垂れた金糸の先端が、肌を撫でていたのだ。
この糸はどこから垂れているのだろう。
金糸の先をゆっくりと辿っていったアドリアニは、呆然とした。
青い瞳、通った鼻筋、秀でた額、そして、金色の長い髪。
絵姿と同じ空の王の顔がそこにあった。肖像画と寸分違わず、いいや、もっと美しく光り輝く姿で、アドリアニを貫いているのだ。
う、そ…。
驚きのあまり、蜜壺が痙攣したようにきゅっと収縮した。
「く…っ」
空の王は呻いて動きを止めた。美しい顔が歪む。
「私を食いちぎる気か!」
アドリアニは何度も頭を振った。
食いちぎる気はないと否定したのではなく、こんなのありえないという意味で振ったのだ。夢が現実となっていることに、頭の中がついていかない。
空の王が私を…。
視覚的効果は絶大だった。
全身が総毛立ち、アドリアニは一種の恐慌状態に陥った。空の王は動きを止めているのに、さらなる快感の波がアドリアニを襲う。
疲れ切っていた身体の奥から不思議な力が湧いてくる。まるで、繋がったあの場所から空の王の力が注ぎ込まれるようだ。
空の王はアドリアニの手を放し、今度は腰を鷲掴みにすると、より激しく腰を動かして抉るように昂りを突き入れてくる。
「ひぃ…っ………んっ、ふぅ……あ、あ、」
たまらない愉悦に、空の王の動きに合わせて腰を振ってしまう。
もっと、もっと奥へと空の王を誘うように…。
これまで与えられていた何倍もの快感が襲ってくる。
アドリアニは恍惚の表情を浮かべた。
解放された両腕を伸ばすと、空の王が上体を倒して顔を近づけてくる。青い瞳に吸い込まれてしまいそうだ。
肖像画のような平面ではない。現存する姿が目の前にあるのだ。確かめたくて、掌で美しい顔を包み込む。
「ぁぁ、空の王…」
間違いなく、そこに空の王がいる。
なんて美しいの。
ぽっかり穴が空いていた胸の奥に、歓喜が濁流となって流れ込んでくる。
噛みつくような口づけを受け入れ、アドリアニは空の王を強く抱きしめた。