立ち読みコーナー
目次
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天使のとまどい 〜侯爵画家に魅入られて〜  ……5
あとがき                  ……247
(66ページ〜)
(――胸、小さいのに……)
 そう思うと、いたたまれなくなる。
 胸の大きさなんて関係ないとリュシアンは言ってくれたけれど、がっかりされているかもしれない――
 アンジェルは恥じらって、彼の手から逃れようと身をよじる。
 と、そのままそっと青い絨毯の上に押し倒されてしまった。アンジェルが抵抗できない程度にやわらかく体重をかけられてしまう。
「怖い?」
 気づかわしげに問われて、首を横に振る。
「――恥ずかしくて……」
「俺も緊張してるんだ。ほら――」
 そっとアンジェルの手を取ると、リュシアンは自らの心臓の上に手を置かせる。
 引き締まった胸筋の向こうで、心臓が激しく脈打っているのが伝わってきた。
(あ……)
 どきどきしているのは、自分だけではない。
 見上げると、切なげな視線に射貫かれた。
「俺は――あまり、こういうことをしたことがないんだ。いつも絵ばっかり描いてて――俺は絵を描きたくて、海を渡ってきたような人間だから、情熱のすべては絵に注いでいるんだけど……でも、君を見てるとだめだ。抑えが利かなくなる」
 リュシアンの片方の手のひらが、アンジェルの背中から、胸元へと移動する。
 ささやかなふくらみを彼の大きな手でまさぐられ、先端の突起に軽く触れられた。
 ピリッ、と甘い感覚が奔り、わずかに身が震える。
 敏感なその部分を、リュシアンは二本の指で軽くつまんでくる。そのまま指先で乳頭を弄ばれていると、もともと敏感なその部分の感覚が、さらに鋭敏になってゆく。桜貝のような淡い色をしていた乳頭がほの赤く充血し、硬く凝ってゆくのがわかる。
「…やぁっ……」
 未知の感覚に戸惑い、アンジェルは身をくねらせた。
 すると、鎖骨のあたりに食むように口づけていた彼の顔が、胸元にまで下りてきて、先端の突起を口内に含まれる。
 熱く濡れた粘膜で、鋭敏になった乳首を愛撫されると、さらに甘ったるい熱がそこから胸元全体に広がってゆく。
「……あっ…熱い……熱い、です……」
 片方の乳頭は指先で、もう片方は舌先に弄ばれ、アンジェルは彼の下で悶えることしかできない。そのうちに、下腹の――恥骨の奥の方にまでその熱が伝播して、じんじんと切なく疼きはじめる。
(――どうして?  なに、どうして……)