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幽囚 〜偽りの兄に愛された夜〜 5
幽遠 249
あとがき 281
44ページ〜
腰のラインをゆっくりと辿っていた指が、長いスカートを捲り上げて直接肌に触れた。その指から逃れようと半身を捻るとそのまま裏返されてしまい、背中に彼の熱い唇が押し当てられる。
「はあっ……」
甘い声と共に必死に体勢を整えようとしていた上体が崩れる。腰は彼によって押さえられたままだったから、そのまま突き出すようにして抱えられてしまった。貴族階級の女性の衣服は下着でさえ繊細で美しい。丈が長く、レースやリボンで飾られている。それがあっさりと引き下げられてしまう。
「やめて、放して!」
彼の目の前にすべてを晒してしまっている。しかも腰を突き出した状態だ。必死にその視線から逃れようとするが、彼は片手であっさりとカリナを押さえつけると、ゆっくりと彼女の秘められた部分に指を伸ばした。
そこは胸を愛撫されたせいでしっとりと濡れていた。
周辺をなぞるようにゆっくりと指を這わせられ、水音が響いた。彼はじらすように何度かそれを繰り返した後、不意に指を中まで突き込んできた。
「つっ」
わずかな痛みと甘い刺激が走る。
胎内に潜り込んだ指は、痛みを感じさせないようにゆっくりと、それでも確実にカリナを追い立ててくる。さらに追い打ちをかけるように、空いている指で花芯を嬲られ、腰が跳ね上がった。
「そこ、嫌……。触らない、で……」
強すぎる快感に、見開いた瞳から涙が零れ落ちる。
けれどラフィールがそれを聞き入れてくれることはない。彼が自分の言うことを聞いてくれたことなど一度もなかった。
わかっているのに、許しを請う言葉を口にしてしまう。強すぎる快感はそれほどつらかった。
指が、熱い内壁をなぞる。カリナの意志に反して水音はさらに大きくなり、足を伝って零れ落ちてシーツに染みを作った。
けれど、どんなに甘い声を上げても、ラフィールの瞳は醒めたままだ。
そしてどれほどその身体が熱く蕩けても、彼はカリナを犯そうとはしなかった。
ただ声が涸れるまで弄ばれるだけ。
無理矢理犯されるよりはずっとましだ。そう思っても、快楽を覚え込まされた身体は次第にもっと強い刺激を求めてしまう。
いつか自分から望んでしまいそうで、恐ろしい。