- 目次
- 264ページ
序 5
第一章 7
第二章 52
第三章 95
第四章 151
第五章 202
あとがき 261
76ページ~
「めちゃくちゃにして、と君は言った」
咎めるような口調でサーディスがつぶやく。
「そして私は、君は私の新しい玩具だと言った。すべて君が招いたことだ」
再び衝撃を受けた。
これが本当に私の求めていたものだろうか。
サーディスはフレデリカの頬にキスを落とすとドレスのボタンを外し始めた。器用な指先は手早く巧みだ。
「いや……、やめて……」
ベッドで玩具として扱われる。フレデリカはどんなふうにされるのか予測ができず、恐怖に駆られて口走る。
「震えている」
サーディスの指が止まった。
「だが、私はやめはしない」
サーディスはどこか自分自身に言い聞かせるように宣言した。再び指が動き出し、ボタンを外したドレスを開く。露わになったコルセットの紐を引っ張り、ほどいていく。
「そう、……私は、悪い男だから」
サーディスはゆるめたコルセットをドレスごと腰まで引き下ろす。フレデリカは短い悲鳴を漏らす。
サーディスが強く息を吐いた。それから、感じ入ったようなうめきを漏らす。
男性の前に露わな乳房を晒すのは生まれて初めてだった。
「そ、そんなに見ないで……」
「そうはいかない」
サーディスの唇は今度は忍び笑いを漏らし、フレデリカは肌がぞくりとする。
乳房をじっくり眺めた視線が肌を舐めるように動きだす。肌がひりひりと灼けるように痛みをもたらす視線の動きだ。
視線は華奢な腰のくびれとへその下まで下りていき、またゆっくりと上ってくる。
視線がまた乳房に戻った。乳首がきゅっと縮み、つんと痛みを放つのを感じる。
永遠とも思われる時間が過ぎてようやくサーディスが動いた。ガウンを脱ぎ捨て、フレデリカの耳の脇に肘をつくと、唇を重ねてきた。
「あ……っ」
唇を受けたフレデリカはそのキスを強く求めていた自分に気づいた。キスに熱が入っていくにつれ不安が薄れていくのがわかる。どこか安堵に似た気持ちを覚えて身体じゅうに入っていた力がゆるむ。