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初夜 ~王女の政略結婚~ 5
あとがき 290
74ページ~
「あぁぁ……!」
もたらされる愉悦が全身を焼き、はけ口を求めて嬌声が上がる。
「あ、……アッ、も、もう、わたくし、ああ……っ!」
「王女、……ネフェルアセト、様!」
快楽の中で、アフレムの身体が強く自分に押しつけられるのをうっすらと感じた。腰骨のあたりに、弾力のあるものが当たる。それがアフレムの興奮の証だと、一拍遅れて理解した。
ひどく熱く太い。――その質量に、ぞくりと肌が粟立つ。
猛ったものは、ネフェルアセトの柔らかな太腿の外側にぴたりと押し当てられ、敷布との隙間に潜り込んできた。
尻の丸みを押してくる先端が、まるで生き物のようにドクドクと脈打っている。
隆起した男のものなど知らなかった。その存在すら、王女の前では慎重に隠されるものだったのだ。
「……い、いや……」
「王女……!」
耳元で、アフレムが荒く息をつく。
「すみません、我慢、できない……っ」
アフレムは自身の猛りを押しつけ、ふくらんだ先端から滲むぬめりを、滑らかな肌に塗りつけた。
「あ、あァ……ッ」
熱く、硬く。
――これがそうなのか、とネフェルアセトは、形を変え、太腿の下をこする男の欲望を意識した。
男の勃ち上がったものが、自分の中に入ることは知っている。そして子供ができるのだと、イラティカは教えてくれた。男は欲情を覚えると、自身を硬くするのだと。
アフレムが……、と痺れるような快楽の中で、ネフェルアセトは思った。――アフレムも興奮している。
「あ、……ぁああ、アフレム……ッ」
わたくしだけではない――そう思うと、ぞくぞくと慄きが背筋を駆け抜けた。ネフェルアセトはアフレムにしがみついたまま、その耳元で、甘く喘いだ。
「王女……!」
アフレムの動きが激しくなった。ネフェルアセトの愉悦を引き出す指の動きも、同じように速まって、敏感な内襞を激しく責めてくる。
ふたりの切羽詰まった荒い呼吸が重なった。
「ン――……ッ!」