立ち読みコーナー
目次
264ページ
二人の皇帝~淫らな愛の板挟み~    5
あとがき               258
61ページ~
(あぁ……入ってきてる……)
 体を合わせるとかつながるという表現の意味を、今までは漠然としか知らなかったけれど、今はっきりと実感した。いや、今の自分とアレンに一番ふさわしいのは、『一つになる』という言葉かもしれない。
 我知らずミルシャは、アレンの背に腕を回し、しっかりとしがみついていた。やがて、アレンが深く息を吐いた。
「根元まで、入った。……これでお前は、俺のものだ」
 違和感を覚え、ミルシャは自分を貫いている青年の顔を見上げた。
(アレン様……?)
 自分が知っているアレンとは、口調も表情も微妙に違う。片方の口角を引き上げてにやっと笑う癖は、アレンにもあるのだけれど、
(こんな雰囲気だったかしら……?)
 顔には歪んだ喜びがにじみ、声にはざまみろと言わんばかりの満足感が混じっている。アレンはこんな邪悪な笑い方をしただろうか。——自分の処女を奪ったこの青年は、本当に夫のアレンなのか。
「大丈夫か? 痛むのか」
「え……」
 案じる声で問われて、ミルシャは我に返った。暗青色の瞳が、心配そうな光を浮かべて自分を見つめている。
「強引すぎたか? すまない……無理なら、やめよう」
 声も顔も、アレンだ。強引そうに見えて優しいところがあるのを、ミルシャはちゃんと知っている。さっき、妙に歪んだ邪悪な気配を感じたのは、気のせいに違いない。
「大丈夫です、アレン様。少し、きつかっただけ……」
「そうか。……動かすから、苦しかったら言え」
「え……ぁ、ああっ!」
 自分を深々と貫いた牡(おす)が、ゆっくりと動き始める。
(違う人だなんて、疑ってごめんなさい。アレン様……愛してます)