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耽溺契約婚 ~ドS公爵の淫らなアトリエ~
プロローグ 5
第一章 射貫かれた心 10
第二章 契約の結婚 37
第三章 嵐のように奪われて 61
第四章 淫らな調教結婚 91
第五章 誤解とすれ違いの果て 152
第六章 耽溺の拘束 231
エピローグ 263
あとがき 269
64ページ~
「ん……ふ、んぅ」
口づけのもたらす甘い愉悦に、もはやフェリシアは抵抗できない。軽く唇を擦られただけで、ねだるように口唇が開いてしまう。コンラッドの舌が強引に押し入ってくると、待ち受けていたように受け入れてしまう。
「んん、ふ、はぁ、んんん……」
巧(たく)みに舌を吸い上げられ口腔を貪られると、あっという間に全身が熱く蕩けてしまう。息苦しさで頭がぼうっとし、淫らな興奮が迫り上がってくる。
「っ……ふ、ん、んぅ、は……」
思わず自分から舌を差し出し、きつく彼の舌と絡み合わせ吸い上げていた。
「——もうキスの味を覚えたか。飲み込みが早い。いいね、仕込みがいがある」
わずかに唇を離したコンラッドが、陶酔したフェリシアの顔を満足げに眺めた。
次の瞬間、背後から抱き締めていた彼の手が、やにわにドレスの胸元にかかり、コルセットごと乱暴に引き下ろした。
「やっ? きゃあっ」
ふるんとまろやかな乳房が弾みながら飛び出す。
フェリシアは驚き、恥ずかしさのあまり慌ててコンラッドの腕から逃れようとした。しかし、彼は力ずくでフェリシアの腰を引き寄せ、もう片方の手でむんずと剥き出しになった乳房を掴んだ。
「痛っ……やぁ、やめて!」
「態度は子どもっぽいが、ここはもう立派に育ちきっているな。初雪の積もった丘の頂に、小さな薔薇色の蕾が佇んでいる」
コンラッドの大きな手の平がふっくらとした胸のまろみを包み込み、やわやわと円を描くように揉み込んできた。
「あ、あぁ、やめて、恥ずかしい……」
「滑らかな肌が、シルクのように手に吸いついてくる。ふ——蕾が尖ってきたぞ。口で言うほど、いやではないだろう?」
意地悪くささやかれ、恥ずかしさでかあっと頭に血が上る。いやらしいことをされていると思うのに、左右の乳房を交互に揉まれていると、何かふわふわ心地好くなってしまう。しかも、言われた通り乳首が淫らに固く凝ってくるのがわかり、羞恥に耳朶まで血が上った。
そのうちに、コンラッドのしなやかな指先が、尖った乳首をざらりと擦り上げてきた。するとどういうわけか、そこからじんと甘い痺れが生まれ、下腹部の奥がむず痒いようないたたまれないざわめきが生まれてくる。
「あっ、あぁ、あ……いやぁ……」
思わず悩ましい鼻声が漏れてしまい、恥ずかしくて必死で唇を噛み締める。
「いい声が出てきた——もっと泣かせてやる」
コンラッドがふいにきゅうっと強く乳首を摘み上げた。
「あああっ、痛っ、いやっ……」
激痛に悲鳴を上げると、すかさずあやすように掠めるように指の腹で乳首を擦られる。そうされると、ひりつくような疼きがどんどん先端から全身に広がり、フェリシアは身を仰け反らせて身悶えた。
「は、あぁ、あ、だめ、しないで……あぁ」
凝りきった乳首を何度も撫で回され、自分の太腿の狭間のあらぬ部分がひくついてくるのがわかり、フェリシアはいやいやと首を振る。
「気持ちいいだろう?」
両手で淫らな愛撫を続けながら、コンラッドがフェリシアの白いうなじにねっとりと舌を這わせてきた。
「あっ、だめ、そこ……っ」
耳朶の後ろに舌が触れると、背中がぞくぞくするほど感じてしまった。
「ここが弱い?」
フェリシアの顕著な反応を愉しむように、コンラッドは執拗に耳の周囲を舐る。
「あ、あぁ、あ、や、やあ……ぁ」
身体中の血が熱く沸き立ち、コンラッドの指と舌が生み出す初めて知る淫猥な快感に、フェリシアはなす術もなく甘く喘いだ。
なぜこんな恥ずかしい身体になってしまうのか理解できない。
耳も乳首も、さっきまでは意識もしない箇所だったのに、コンラッドに弄られたとたん、感じやすい猥りがましい器官に成り変わってしまう。
「可愛いフェリシア——もっと感じさせてやろう」