- 目次
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不器用な侯爵と溺愛の方程式
序章 5
第1章 のっぽでハンサムな数学者 10
第2章 再会と大人のキス 33
第3章 結婚の予行演習は淫らな指で 87
第4章 幸せな二人に忍び寄る黒い影 130
第5章 結婚式はスキャンダルに揺れて 170
第6章 新婚のふたりは熱く燃えて 222
最終章 291
あとがき 301
コーネリアスは髪や額にキスの雨を降らせ、シャルロットの華奢な肩や背中をねっとりと撫で回す。そんなふうに触られると、ぞくぞくと風邪を引いたときみたいに、悪寒のような震えが走る。熱が出たわけでもないのに、体温がどんどん上がっていくような気がした。
「あ……ぁ」
「可愛いシャルロット─結婚式までは君の初めてを大事にしたい。でも、硬い蕾の君を、少しずつほぐしてもいいだろうか?最後までは、しないから」
耳孔に熱い息とともに悩ましい声が吹き込まれ、身体の芯がじんと痺れた。
でもなにもわからず、どうしていいかも知らず、少しだけ怖い。
背中が緊張でこわばるのを、コーネリアスは敏感に感じたようだ。
「怖くないから」
でも怖いと思う─だけど、コーネリアスのものになりたい。コーネリアスだけにこの身を捧げたい。その気持ちが熱く胸いっぱいに広がり、恐怖も戸惑いも凌駕してしまう。
「はい……」
彼の胸に顔を寄せ、そっと睫毛を伏せる。
どっどっどっと、コーネリアスの力強い鼓動が鼓膜に響き、なんだか安心する。
すると、細い顎に指をかけられ、そっと顔を仰向けにされる。
唇を塞がれ、撫でるように彼の唇が上下に擦ってくる。
「ふ……」
キスされるのは、もう慣れた。
深いキスの快感も覚えている。
唇をそっと開き、コーネリアスの舌を受け入れる。
「んん、ん……」
喉奥まで舌が入り込み口腔を掻き回されると、頭が真っ白になる。
「は、あ、ぁ……」
彼のシャツにぎゅっとしがみつく。
コーネリアスの片手がうなじを支え、長い指が耳朶の後ろをくすぐった。くすぐったいのに、なんだか淫らな心地よさもある。
「……は、んぁ、あ」
舌の付け根を噛まれると腰がびくっと浮いた。呑み込めない唾液が口の端から溢れてきて、喉がぐぐっと鳴った。
うなじを抱えていた手が、首筋から肩口に下りてきて、まろやかな乳房を服の上から柔らかく覆う。
「あ─」
胸を円を描くような感じでゆっくり揉みしだかれた。
ときに強くときに繊細な動きで、コーネリアスの手が自在に乳房を揉み込んでくる。
そうされると、なぜかいてもたってもいられない気持ちになり、乳房の先端が鋭敏に硬く尖ってくるような気がした。
コーネリアスの指先が、探り当てた乳首をくりくりと転がした。
「んっ?は、ふ……ぅ」
どういうわけなのか、乳首をいじられるとそこがますます硬く立ち上がり、なにかむず痒いようないたたまれないような疼きが、下腹部へ走っていく。
「や……め……」
舌を強く吸われているので、うまくしゃべれない。
コーネリアスの手が、左右交互に乳房を愛撫し、服を押し上げて凝った乳首を指の腹で優しく撫で回し、ときにきゅうっとつまみ上げてくる。
すると、明らかに快感とわかるものが乳首の先から生まれ、自分の口に出してとても言えないような恥ずかしい部分がきゅうっと縮こまる。
それが切なくて甘痒くて、どうしようもなくなる。
「も……だめ、胸、触っちゃ……だめぇ」
首を振ってキスを振りほどこうとすると、コーネリアスはするりと舌を抜き、溢れた唾液をすすり上げ、甘いコントラバスのような声でささやく。
「どうして?気持ちよくなってきたから?」