立ち読みコーナー
目次
320ページ
傲慢侯爵は不本意ながら皇女に夢中!   1
番外編 止まらない新婚初夜       295
あとがき                315
257ページ~
「泣かないで、アデール」
 アデールの唇に、やわらかな感触が訪れた。鼻と鼻が触れるぐらいの距離でフレデリクがこう囁いてくる。
「私は君の涙に弱すぎるんだ……」
 その声色は口惜しそうだったが、彼の瞳は愛情に満ちあふれていた。
「フレデリク……!」
 アデールはつま先立ちになって、彼の首を掻き抱いた。すると、そのままふわりと抱き上げられ、ベッドに下ろされる。
「アデール……これからすることは君に乞われたからじゃない。私が君を抱きたいだけだ」
 フレデリクがアデールに覆いかぶさり、再びくちづけた。唇が重なるなり、ぬるりと舌が入り込み、彼女の口内をまさぐってくる。そうしながらも彼の手はアデールの質素なドレスの前ボタンを外していっていた。
 長く深いくちづけが終わったときには、ボタンはすべて外れており、彼はドレスを左右に剥きながら、首筋から胸元へと舌を這わせていく。その温かく濡れた感触は、アデールの乾いた心をみるみる潤わせていく。
「……んっ……ふ……」
 フレデリクの舌が胸のふくらみを這い上がる。そうしながらも下着をずらし、彼女のふたつの乳房を露わにした。
「あっ……!」
 フレデリクが乳房の頂にかぶりついた。いつもより動きが性急だ。彼もアデールに飢えてくれていたのだろうか。乳暈を舌で包んで愛撫されたかと思うと、強く吸われる。しかも、もう片方の乳首は彼の指で優しく扱かれている。
 アデールは、背筋を這い上がる甘い痺れに耐えようと、シーツを掴んで髪を振り乱した。
「あ……フレデリク……フレ……デリク……んぅ……ふ……」
 フレデリクの前で彼の名を呼べるのはなんと幸せなことか。アデールは譫言のように何度も彼の名を呼んだ。
 フレデリクが胸から口を離す。彼の緑眼は薄暗がりの中で酩酊したように艶めいていた。
「私の……アデール。私が今まで、どんなに君の中に入り込みたかったか……わかるか?」
 アデールは彼の肩に手を置いてすがった。
「フレデリク……私をあなたのものにして!」
「まだ夜が明けるまで少しある……もっと見せて……君のすべてを」
 そのとき、スカートがふわりとめくり上げられた。彼の長い指がドロワーズの中に差し込まれたかと思うと、そのままずり下げられる。下肢が外気に触れた。それだけでぞわぞわと全身の肌が粟立っていく。
「アデールのここ、可愛い」
 彼女の脚のほうから光が差す。彼が手燭でアデールの下肢を照らしているのだ。
「え……や……そんなとこ……!」
 アデールは咄嗟に脚を閉じようとしたが、片膝を掴まれて制止された。
「いやじゃないんだろう?だってここ、ひくついて……見られて感じているよ?」
 恥ずかしいはずなのに、下肢にむずむずと甘い快感が広がっていき、そこからとろりと蜜が垂れたのが自分でもわかった。
「見ないで……」
 アデールは手で顔を覆う。
「どうして?私は妻のすべてを見たいんだ」
「意地悪……」
 そう言いながらもアデールは自身の中で官能がどんどん高まっていくのを感じていた。
「さあ、奥様、認めたら?私に見られて君の心も体も悦んでいるよ。ほら」
 フレデリクが手燭をチェストに戻し、太ももからつけ根へと四指を這わせていく。濡れた肌に触れる彼の骨張った指の感触に、アデールは気が遠くなりそうな悦楽に襲われた。
 やがて指がこぷりと蜜源へ入り込んできて、アデールは腰をびくっと跳ねさせる。
「んっ……んん─!」
「いつもより濡れているよ?」
 フレデリクが指で中を掻き回すと、くちゅくちゅと水音がした。卑猥な音なのに、アデールの耳には心地よく響き、とてつもない陶酔をもたらす。意識がどこかに飛んでいきそうになったとき、ゆっくりと指が抜かれていく。蜜壁がこすれて、それすらも快感になる。
 はぁはぁと、アデールは荒い息で快感を逃す。体中が熱く、じんわりと汗をかき始めている。と、そのとき、太もものつけ根に何か太く硬いものが当たった。今までにない感触だ。彼はいつの間にか、シャツを開けトラウザーズをゆるめていた。
「ひゃ?」
 フレデリクが上体を前倒しにして顔を突き合わせてくる。
「アデール、ここまで来たら、私は止まれないよ?」