立ち読みコーナー
目次
312ページ
一 破綻       5
二 捕獲       27
三 躾        69
四 陥落       109
五 繋がり      152
六 懊悩       189
七 離別       229
八 選択       258
九 再会       273
あとがき       309
 今夜はそれで終わりではなかった。寝台に下ろされ、再び挿入される。
「あうう……」
 彼のもので満たされている肉壺がぐちゅっと卑猥な音を立てた。
「ふたをしてやろう、ちゃんと私の子供が根づくように」
「いや……」
 こんな状況で身籠りたくない、ここに縛りつけられてしまう。
 逃れたい、だががっしりとした体に搦めとられている。
 秀樹は繋がったまま小夜子を抱きすくめ、口づけをした。
「絶対に手放さない、私のものにしてみせる」
(それは、愛なの?)
 不幸な母親の代わりに自分を所有したいだけではないだろうか。
 本当に自分のことを愛しているのだろうか。
 混乱の中、ただ体を揺さぶられる。秀樹のものが奥深く貫く。
 ずん、ずんっと最奥を突かれ、体内の感じる場所がだんだん固くなってきた。
「あ、ああ」
 葛藤しているのに体は燃え上がってしまう。
「感じているな、ここが、いいだろう」
 秀樹は小夜子の胴を強く摑んでさらに腰を使い始めた。
「どうだ、ここを突かれるとたまらないのだろう、もう一度いくか?」
「ゆ、ゆるして」
 葛藤を抱えたままいかされたくない、自分の意思はどこにあるのだろう。
「こんなの、嫌よ……」
 小夜子のささやかな抵抗は快楽の波に押し流されていく。体内の塊が熱く燃え滾る。
「そこ、駄目ぇ……」
 彼の先端で体の奥底をぐりっと擦られる。そのたびに震えるような快楽が溜まっていく。
 ずん、ずんと貫かれるごとになにも考えられなくなる。
「あっ、あ、ああ……」
 頭が真っ白になる、葛藤すら薄くなっていった。
(もう、このままでいいのだろうか)
 彼に抱かれたまま流されてしまおうか。彼の子供を産み、この屋敷で育てていく。
 そういう生き方もある、そんな女性は大勢いる。
 大きな川に流されるように、小夜子の意思はくじけそうになった。
「ああ……」
 自分から彼の体に抱きつく、そうするとさらに体内に深く彼のものが埋まるのだ。
「いいだろう、なにも考えず、私のものになれ─そうすればもっと楽しめるだろう」
 流されたい、彼のものになりきってしまいたい。
 だが、胸の奥に小さな棘が残っている。
(駄目)
 芳子は泣いていた、自分の夫が隠し子を持っていたことで。
 恥をかいてでも夫を受け入れようとしていた。
 自分が誰かを傷つけるほうに回っていいのだろうか。
(駄目よ)
 最後の最後、自分の思いは捨てられなかった。
「ううっ」
 小夜子が快楽に没頭しないことを見た秀樹はさらに攻め手を強める。
「まだ降参しないのか、強情な女だ」
 奥を貫きながら乳首を摘まみ、唇に咥えて吸い上げる。
「ひゃうっ」
 上下から刺激をされて、もう限界だった。狭い壺がきゅうっと収縮して彼のものを包む。
「ああ、いい、お前が感じている、私を求めている」
 「あ、そんな、激しい……!」
狭くなった場所をさらに擦られ、とうとう小夜子は燃え盛った。激しく痙攣し彼を包む。
「やああ……」
 じわりと熱くなった、その中でさらに激しく秀樹が動き、また達してしまう。